明日の株式相場に向けて=6月メジャーSQ週は上値トライか
週明け9日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比346円高の3万8088円と続伸。前週末の米株高と外国為替市場での円安進行を受け、朝方からリスクオンの地合いとなり、寄り付きでフシ目の3万8000円台を回復。その後も頑強な値動きに終始した。日中の値幅は160円と小さく、その意味では起伏の乏しい相場で上値も重かったとは言えるのだが、累積売買代金が突出して多い3万8000円大台近辺で目先筋の利食いを丹念にこなし切り、一度も3万7000円台に押し戻される場面が見られなかったことは、日本株に対する強腰の資金の存在を暗示している。
今週は週末13日にメジャーSQ算出を控えている。先物主導で荒れた値動きも覚悟するところだが、市場関係者は「今回は下値を目指して売り仕掛けを狙うよりも、買いで入って踏み上げを狙う動きの方が起こりやすいのではないか」(中堅証券ストラテジスト)という意見も聞かれる。米中貿易摩擦については、依然として落としどころは見えないが、中国側がレアアース輸出規制について、既に一定数量の適正な申請を許可しているという報道もなされており、態度を軟化させる動きが垣間見える。きょうロンドンでベッセント財務長官、ラトニック商務長官、グリアUSTR代表の3者が、中国側の何立峰副首相をはじめとする中国閣僚と交渉に臨むが、マーケットはとりあえずこの結果を見極めたいという場面。しかし、そうしたなかも資金の米国一極集中からグローバル分散化の流れの中で、相対的に出遅れが目立つ日本株へのシフトが静かに進んでいる可能性はある。
総論はともかく、相場の中身をみる限り個別株のテーマ物色が花盛りとなってきた。三菱重工業<7011.T>など防衛関連の主力どころは全体相場の上げ潮に乗り切れず、きょうのところは上値の重さが意識されたが、防衛というテーマは色褪せることなく今後も波状的に物色の矛先が向きそうだ。その場合、人気を博している局面はむしろポジション調整の売りを優先し、逆におとなしい場面で拾っておくのが基本戦略となる。例えばIHI<7013.T>。同社株の信用倍率は0.79倍であり、日証金では逆日歩がついた状態だ。空売りしたくなるのが人情だが、実際は逆で5月以降に買い戻しを強要する形で上値指向を加速させた。
また、三菱重が大株主に入っている銘柄への物色人気に火が付いたが、これもシリーズ化する気配がある。前週は三菱製鋼<5632.T>などが突然変異的な急騰を演じた。この流れをにらみ、新たにマークしておきたい銘柄が三社電機製作所<6882.T>だ。電源機器メーカーとして高い競争力を有しパワー半導体でも高実績を誇るが、実は防衛省との取引実績も豊富でバックアップ用電源を納入している。そして意外と見逃されているが、同社の実質筆頭株主が三菱重である。配当利回り4.7%前後と非常に高く、しかもPBRは0.4倍台に過ぎない。急騰を演じた菱製鋼と業態は違うものの同じような人気素地を内包している。
前週末から宇宙開発関連については残念ながらispace<9348.T>の月面着陸失敗による売り攻勢圧力が、広範に及んでしまった。しかし、そうしたなか「宇宙」から溢れ出た投資マネーが近い次元に位置する「量子」に還流するという状況となった。きょうのテラスカイ<3915.T>やブレインパッド<3655.T>の動きはその象徴で、プライム市場で値上がり率上位に顔を出したが、これを横目に“次の銘柄”にもアンテナを高めておく。量子コンピューター関連で、今はまだ動きの乏しい銘柄としては、BlueMeme<4069.T>、インテリジェント ウェイブ<4847.T>などに目を配っておきたい。
このほか「半導体」「AI」「防衛」「仮想通貨」など、テーマ買いの目抜き通りではないが、株高街道を走り続けている銘柄群が不動産関連の一角である。駅前を中心に都市再開発の勢いが凄まじい。最終局面にある渋谷再開発に続く案件が、新宿、八重洲、品川など次から次へと動き出している。これはインバウンド効果によってもたらされた影響も大きいと思われるが、日銀が今後利上げに向かうというシナリオが取り沙汰されても、不動産再開発の流れは止まらない。銘柄的にはきょうはアグレ都市デザイン<3467.T>が急動意をみせたが、コスモスイニシア<8844.T>なども強い動きで引き続き目が離せない。このほか、ディア・ライフ<3245.T>のもみ合いにも着目してみたい。
あすのスケジュールでは、5月のマネーストックが朝方取引開始前に日銀から開示される。また、午後3時以降に5月の工作機械受注額が日本工作機械工業会から発表される。海外では米3年物国債の入札が予定されている。また、5月の全米自営業者連盟(NFIB)中小企業楽観指数が発表される。このほか、タシケント国際投資フォーラムがこの日から12日までの日程で、ウズベキスタンで開催される。(銀)
出所:MINKABU PRESS
今週は週末13日にメジャーSQ算出を控えている。先物主導で荒れた値動きも覚悟するところだが、市場関係者は「今回は下値を目指して売り仕掛けを狙うよりも、買いで入って踏み上げを狙う動きの方が起こりやすいのではないか」(中堅証券ストラテジスト)という意見も聞かれる。米中貿易摩擦については、依然として落としどころは見えないが、中国側がレアアース輸出規制について、既に一定数量の適正な申請を許可しているという報道もなされており、態度を軟化させる動きが垣間見える。きょうロンドンでベッセント財務長官、ラトニック商務長官、グリアUSTR代表の3者が、中国側の何立峰副首相をはじめとする中国閣僚と交渉に臨むが、マーケットはとりあえずこの結果を見極めたいという場面。しかし、そうしたなかも資金の米国一極集中からグローバル分散化の流れの中で、相対的に出遅れが目立つ日本株へのシフトが静かに進んでいる可能性はある。
総論はともかく、相場の中身をみる限り個別株のテーマ物色が花盛りとなってきた。三菱重工業<7011.T>など防衛関連の主力どころは全体相場の上げ潮に乗り切れず、きょうのところは上値の重さが意識されたが、防衛というテーマは色褪せることなく今後も波状的に物色の矛先が向きそうだ。その場合、人気を博している局面はむしろポジション調整の売りを優先し、逆におとなしい場面で拾っておくのが基本戦略となる。例えばIHI<7013.T>。同社株の信用倍率は0.79倍であり、日証金では逆日歩がついた状態だ。空売りしたくなるのが人情だが、実際は逆で5月以降に買い戻しを強要する形で上値指向を加速させた。
また、三菱重が大株主に入っている銘柄への物色人気に火が付いたが、これもシリーズ化する気配がある。前週は三菱製鋼<5632.T>などが突然変異的な急騰を演じた。この流れをにらみ、新たにマークしておきたい銘柄が三社電機製作所<6882.T>だ。電源機器メーカーとして高い競争力を有しパワー半導体でも高実績を誇るが、実は防衛省との取引実績も豊富でバックアップ用電源を納入している。そして意外と見逃されているが、同社の実質筆頭株主が三菱重である。配当利回り4.7%前後と非常に高く、しかもPBRは0.4倍台に過ぎない。急騰を演じた菱製鋼と業態は違うものの同じような人気素地を内包している。
前週末から宇宙開発関連については残念ながらispace<9348.T>の月面着陸失敗による売り攻勢圧力が、広範に及んでしまった。しかし、そうしたなか「宇宙」から溢れ出た投資マネーが近い次元に位置する「量子」に還流するという状況となった。きょうのテラスカイ<3915.T>やブレインパッド<3655.T>の動きはその象徴で、プライム市場で値上がり率上位に顔を出したが、これを横目に“次の銘柄”にもアンテナを高めておく。量子コンピューター関連で、今はまだ動きの乏しい銘柄としては、BlueMeme<4069.T>、インテリジェント ウェイブ<4847.T>などに目を配っておきたい。
このほか「半導体」「AI」「防衛」「仮想通貨」など、テーマ買いの目抜き通りではないが、株高街道を走り続けている銘柄群が不動産関連の一角である。駅前を中心に都市再開発の勢いが凄まじい。最終局面にある渋谷再開発に続く案件が、新宿、八重洲、品川など次から次へと動き出している。これはインバウンド効果によってもたらされた影響も大きいと思われるが、日銀が今後利上げに向かうというシナリオが取り沙汰されても、不動産再開発の流れは止まらない。銘柄的にはきょうはアグレ都市デザイン<3467.T>が急動意をみせたが、コスモスイニシア<8844.T>なども強い動きで引き続き目が離せない。このほか、ディア・ライフ<3245.T>のもみ合いにも着目してみたい。
あすのスケジュールでは、5月のマネーストックが朝方取引開始前に日銀から開示される。また、午後3時以降に5月の工作機械受注額が日本工作機械工業会から発表される。海外では米3年物国債の入札が予定されている。また、5月の全米自営業者連盟(NFIB)中小企業楽観指数が発表される。このほか、タシケント国際投資フォーラムがこの日から12日までの日程で、ウズベキスタンで開催される。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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