今年の夏は去年と違う! 熱中症対策義務化で「冷感商品」関連が活躍へ <株探トップ特集>

配信元:株探
投稿:2025/05/29 19:30

―25年も猛暑を予想、冷感商品などの活躍の場も増え、関連ビジネスの商機拡大へ―

 気象庁は5月20日、向こう3ヵ月(6~8月)の天候の見通しを発表した。太平洋高気圧が平年に比べ日本の南で西への張り出しが強く、本州付近を中心に暖かく湿った空気が流れ込みやすいとして、全国的に暖かい空気に覆われやすく、向こう3ヵ月の気温は高いと予想している。

 夏の全国の平均気温は一昨年、去年と連続で過去最高となったが、今年も高温が予想されるとなると、心配されるのは熱中症だ。特に今年は改正労働安全衛生規則が施行され、6月1日から企業における熱中症対策が罰則付きで義務化されることになっており、対策商品の売れ行きにも影響を与えるとみられている。

 そこで今回は冷感商品を中心に熱中症対策関連銘柄を取り上げてみたい。

●熱中症による死亡者は高水準で推移

 熱中症対策が義務化される背景には、近年の熱中症による死亡者や、職場での熱中症による労働災害が増加傾向にあることが挙げられる。

 厚生労働省の人口動態統計によると、2024年6~9月の熱中症による死亡者数は概数で2033人に上り、過去最高だった23年同期間の1600人(年間1651人)を上回って過去最高を記録。また、同じく厚労省による「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」を見ると、職場における熱中症による死亡者数も22年以降3年連続で30人レベルで推移している。

 熱中症は死亡災害に至る割合が他の災害の約5~6倍と高く、死亡者の約7割は屋外作業である。気候変動の影響により更なる増加も懸念されることから、早急な対策が求められていた。

●改正労働安全衛生規則で求められること

 職場における熱中症による死亡災害の事例では発見の遅れや、発症時・緊急時の対応の不備が目立つ。こうした状況を受けて6月1日に施行される改正労働安全衛生規則では、「湿度」「日射・輻射など周辺の熱環境」「気温」の3つを取り入れた「暑さ指数」28度以上または気温31度以上の環境で、連続1時間以上または1日4時間を超える作業を対象に、事業者には熱中症のおそれがある労働者を早期に見つけ、重篤化を防止するため、「体制整備」や「手順の作成」「関係者への周知」が義務づけられることになる。

 これにより熱中症対策はこれまでの努力義務から、法律上の義務へと変わることになり、仮に対策を怠った場合には6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性がある。そのため、事業者には従来以上の積極的な対策が求められている。

●冷感アイテムなどの普及も進む

 職場における熱中症予防対策には、休憩場所の整備など作業環境の管理や水分や塩分の定期的な摂取、日常の健康管理などが勧められている。また、ヤマトホールディングス <9064> [東証P]傘下のヤマト運輸は5月27日、ファン付きベストの導入拡大を発表し、トラックで集配業務を行うセールスドライバーなどに「ファン付きベスト」を貸与する方針を示したが、このような涼しさを感じるアイテムや冷感アイテムなども、猛暑を背景に普及が進んでいる。

 そこで今回は、作業や職場だけにとどまらず、熱中症対策商品やサービスなどを展開する企業をピックアップしてみた。

●熱中症対策の関連銘柄は

 まず、注目されるのが、熱中症による脱水症状の予防や治療に用いられる経口補水液の関連企業だ。現在は大塚ホールディングス <4578> [東証P]や明治ホールディングス <2269> [東証P]、味の素 <2802> [東証P]などさまざまな大手メーカーが経口補水液を手掛けているが、なかでも大塚HD傘下の大塚製薬の「OS-1(オーエスワン)」は01年に日本で初めて経口補水イオン飲料として発売された製品だ。24年12月期は350万ケース(1ケース=24本)を販売し、販売実績は国内トップクラス。ドリンクタイプだけではなく、ゼリータイプやパウダータイプの製品も投入し売り上げに貢献している。

 冷感アイテムでは、リベルタ <4935> [東証S]が「クーリスト」ブランドでドライヤータイムを快適に過ごせる「スカルプクーラー」、塗るネッククーラー「アセダレーヌ」、お風呂上がりを快適に過ごせる「インバスボディクーラー」などの冷感アイテムを展開。4月にはシリーズ累計販売個数が200万個を突破したと発表しており、更に今年からはコンビニエンスストアへの販路拡大で更なる販売増を狙う。また、5月22日には火気厳禁な空間でも使用可能なアルコールフリー処方の「フリーズテック衣類用冷感ミスト」により熱中症対策を支援すると発表しており、業績への貢献も期待されている。

 日本毛織 <3201> [東証P]はグループ会社のサンコーが首にかけるネッククーラーや冷蔵ベストなどの熱中症対策商品を展開している。特に冷却プレートとファンにより、環境温度から最大でマイナス19度を実現した冷蔵ベスト「冷蔵服」が人気。このほかにもハンズフリー日傘や水流マットなどの暑さ対策商品を展開している。また、ファン付き作業着はサンコーのほかにも、自重堂 <3597> [東証S]なども手掛けているほか、ユニフォームネクスト <3566> [東証G]もファン付き作業着や冷感ベストなどの作業着を販売しており、いずれも夏場の売り上げに大きく貢献している。

 ワークマン <7564> [東証S]もファン付き作業着を手掛けているが、そのほかにも24年には「4D冷感アイスパンツ」がヒットした。はいた瞬間にひんやり感が伝わる商品で、夏場でも安全のために長ズボンを着用しなければならない現場で働く人を中心に好評だった。同社ではこのほかにも冷感Tシャツなどを手掛けている。

 クロスプラス <3320> [東証S]は、主に女性向けに頭でマイナス10度を体感できる帽子ブランド「-TEN°(マイナステン)」を展開する。また、リュックに装着する冷感アイテム「クールリュックシート」は、テレビの情報番組などで紹介されたことから子どもの熱中症対策アイテムとして話題を呼んだが、通勤・通学時にリュックを使用する社会人や学生などの間にも利用が広がりつつある。

 このほか、ここ数年ですっかり一般的なアイテムとなった携帯扇風機(ハンディファン)を手掛けるリズム <7769> [東証P]や山善 <8051> [東証P]、冷感インナーを手掛けるしまむら <8227> [東証P]やニトリホールディングス <9843> [東証P]、ファーストリテイリング <9983> [東証P]などにも注目したい。

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